最近
命をかけて
という言葉が好きになった
それは
明日死ぬと思ったら
俺は今
何をするだろうと
その視点を思い出させてくれるから
明日死ぬとしたら
俺は
後悔のない今を過ごしたい
自分を見失わず
素直に正直に
思いを
まわりの人に伝えるだけ
それは刹那的ではなくて
俺の思いが
誰かに伝わって
そして
それが
俺の魂になって
その人の中に
生き続けてくれたらいい
俺の命をかけた思いとして
*
遅れて
社会人になった
遅れたから
最初に見た
社会は
激流だった
その
激しい流れの上を
小さな船で一生懸命漕いだ
俺の日常は
俺の生きる時間は
ほとんどが
その上だった
*
だんだんと
その流れも落ち着いて
やっと
その流れだけではなくて
まわりに咲く花の色や
おだやかな日差しの意味も
感じてきたあの頃
*
激流の中を共にいてくれたあの子は
もう
俺には嫌気をさしてしまっていたんだ
俺はあの子を守るために
危険な小さな船に乗って
一生懸命やってたつもりだったけど
あの子にわかりやすいかたちで
伝える術や精神的余裕を
持ち合わせていなかったのだろう
*
そして
どこかで
あの子のことを
腹の底から愛すことが出来ていなかったんだ
*
あの子との最後にも伝えたけど
俺にはきみではなくて
きみにも俺ではなかった
ただそれだけだった
*
でも
俺は
感謝してる
あの子がしてくれたこと
毎日
小さなホワイトボードに
夕飯のメニューが書かれていて
あの子は隣の部屋で
いびきをかいて寝てた
*
そんな当たり前も
当たり前ではなくなって
コンビニやスーパーの弁当ばかりの
日常になって
顔のふきでものが多くなったときに
あの子を感じずにはいられなかった
*
だけど
俺は前を向いて
前に進むことを決めたから
そんな現実も
自分が選んだ道だと
心に甘えを許さず
瑠美を
瑠美だけを
大切にやってきた
*
瑠美は
夜起きてる
朝早く起きなきゃだから
早く寝るようにする
あの子は
夜寝てた
朝早く起きなきゃだから
朝型の生活スタイルだった
そこから
俺にはあの子ではなかったんだ
あの子は健康的で
なにも間違っていない
でも
俺の日常と
俺のスタイルが
夜型だった
*
言葉にしたら
乾いた現実を感じる
でも
それ以上に
感謝してる
俺にはきみではなかった
きみにも俺ではなかった
ただ
それだけだったんだ
価値観の違いというやつだった
*
瑠美とこれからも一緒にいたら
また
素直に正直になれなくなるのかな
そんな恐怖はいつも抱えてる
ふざけてばっかりで
本当の気持ちを伝えられなくなるのかな
そんな恐怖をいつも抱えてる
でも
何か違う希望を感じてる
瑠美は俺にとって一生の出会いだった
その思いを
命をかけて
伝えていくだけだ
過去を恐れずに
明日死ぬと思って
今日を後悔なく生きようと
また
簡単な結論に至るまでだ
*