兄貴が2つの難病にかかっていると
知ったのは2020年の年が明けてから
2019年の年末に
家族で集まる場で
兄貴は検査入院して集まれなかったから
暗雲は感じていたんだけど
おおまかに
余命15年くらいと言われたみたいだ
*
兄貴とは
兄貴が高校生まで
一つ屋根の下で一緒に暮らした
すごく仲が良かった
笑いのツボが一緒だった
前の彼女には
すごく似ていると言われた
*
そんな兄貴は
社会人になってからは
生き急いでいるような生活だった
仕事で稼ぎまくって
酒もたくさん飲んで
家庭を持っているけれど
なんとか維持していた
*
そんなツケもまわってか
いよいよ体にガタがきたか
バカだなあと笑い飛ばせる反面
少し油断したら
親愛なる兄貴の不幸に
涙が出そうだ
*
でも
人の命には限りがある
兄貴の場合は
おおまかに15年くらいという目印がついただけ
もしかしたらもっと早いかもしれないし
医学が進歩すればもっと長く生きられるかもしれない
そんなことはわからない
そして
俺も瑠美もみんなも
いつまで生きられるかなんてわからない
そんな中で
兄貴にはおおまかな期限がついた
今の時点で
*
それを憂うことは簡単だ
でも俺はそれはしたくない
そこから何かを感じて
行動していくだけ
*
俺が小学生の時
よく一緒に遊んだ
よくけんかするのに
なんでか
また
一緒に遊んで
けんかして
よく兄貴だからって
兄貴が親に怒られてて
俺はしめしめと思ってたけど
またけんかして痛い目にあったり
仲良いのか悪いのかわからなかったけど
なんでか一緒にいた
そして俺は兄貴があの頃も
今も大好きだ
*
いつも誰に対しても少年のような
素直さを持っている兄貴
兄貴の結婚式で
奥さんが
兄貴のどこが好きなのか
みたいなよくある
パンフレットの項目に
「少年のような心」
と書いてあっただけで
全てに安心した
*
声を張ると声が高い
俺も同じ
笑うツボがおかしい
俺も同じ
酒が好き
俺も同じ
俺と兄貴は違うもちろん人間だけど
血が繋がって同じ環境で生きてきたから
たくさん共通点がある
*
そんな兄貴は
おおよそ15年くらいで死ぬらしい
そう考えると
生きている間に俺には
やれることがあると思う
やりたいことがあると思う
兄貴の命の期限を意識したことから
他にももっと大切にできることがあると
改めて気づかされてもいる
*
俺は兄貴の命を無駄にしない
兄貴の命の炎を見て感じたことを
やがてそれが消えることを実感した
俺の中の命の炎を
全ての命の炎を
俺は無駄にしたくないと
改めて感じたんたんだ
*