ごめんね
俺が生きてきた30年
まっとうなストーリーではなかった
ごめんね
日の当たる思い出じゃない
暗闇でもなかった
木漏れ日とミッドナイト
*
クリーンじゃなかった
だから真っ黒い人たちに目がいった
でも暗闇に行くには勇気がなかった
俺たちはそんな仲間たち
みんな心は純粋だったから
*
俺たちは田舎の心の優しい少年たち
田舎の不幸な不良たちではなかった
でも田舎にいたから
不良と優しさの間を俺たちは
葛藤してやってきたんだ
みんな心の底は優しくて
その優しさだけで生きていけるのに
きっとそんな自分に照れてたんだろう
不良とは
優しさのことではないかしら
太宰治の言葉
俺はその言葉に自分を重ねた
何もない不良ではなかった
ただの優しい不良だった
*
タバコ
安いお酒
女の子
バイク
手持ち花火
改造車
時々
時々
ハーブ
夜中の
コンビニ
ドンキ
心霊スポット
廃墟
チンピラ
やくざ
あの頃の思い出
*
ストリート
今でも多いイリーガル
そんな恐怖と隣り合わせ
木漏れ日から暗闇をのぞく好奇心
暗闇と木漏れ日の違いを感じる日々
そこにあったのは
生まれ持った優しさ
俺たちは
優しい不良
優しさだけじゃ照れくさくて
何も持たない不良にはなれなくて
中途半端な
優しい不良だった
まわりにいたイリーガル
わかりあえなかった家庭環境
うちに秘めた優しさ
与えてくれたパパとママ
大人になってもいてくれたパパとママ
大好きなパパとママ
*
ごめんね
そうやって生きてきてしまった
だせえけど心の中でいきってきた
だせえけど
真面目になんてできなかった
中学校のときの制服の裏地は紫色
親父からもらった
タイトな学ラン
タグには意味のわからない
こっそり
素行の良い中学校で着る
親父がくれた
裏地が紫色のタイトな学ラン
*
それが
優しい不良だった
俺の思い出
心の中でいきってた
優しい不良の俺
*