心象


あの頃残した言葉


昔も俺はこんなことしてた


思いを言葉にしてた


それはそれは

大きな思いや感情を


今でも思う


それはその時の思いや感情を

残しておきたかったから


そして残した心象は

いつでも俺にとってかけがえのない

美しい絵のようなものだった


暖かい色をした文章も

冷たい色をした文章も

ピンク色も黒色も

そこに散らばる言葉は

俺の記憶の色だった


秋の紅葉を人は美しいと思う


色づく葉のコントラスト


俺にとっては

自分の感情のコントラストが

美しく思えたんだ


そしてそれは

俺という存在だけではなくて

人という

感情のコントラストにも見えて

少しだけ普遍的な真理を

感じるような気もしてた



誰かの言葉だったか


100人の女を知るよりも

1人の女を愛したほうが

女というものをより知ることできる


同じように


何万人の感情を知るよりも

自分の感情に向き合うことで

俺は人という生きものの

本質に迫りたかったのかな


それは今も変わっていない


100人の友達よりも

何人かの気が知れた心の友達


それが大切



俺と薄く交わったあの女の子たち


よりも


あの日あの時

俺の感情の奥底に響いた女の子たち


片手で数えるくらいしかいない


そしてそれは

今の今でも

あの日あの時が思い出せるくらい

かけがえのない心の記憶



きみはもう

覚えていないかもしれないけど



親指


俺のために家の3階から飛び降りて

藤岡のあの病院で

看護師さんに見つからないように

ギブスしてるのに隠れてしたきみ


そして

そんなことなかったかのように

新しい環境に変わって

俺を離れていったきみ



人差し指


俺なら信じられる気がする


そう言ってくれたきみ


最後は

俺と話す気も起きなかったきみ


煙草が好きだったな


レゲエを俺より先に聞いてた


小さくて孤独に見えた


赤が好きだった


小さくて可愛いかった


コンビニからアパートのあの道


手を繋いだこともあれば

けんかしてそっぽ向いた日もあった


きみ



中指


付き合うことがなかったのに

ここまで俺の心にいるのは

きみが初めてだった


そしてきみを思う気持ちは

きっと俺の人生で一番だった


俺は俺の考え方ややってきたことを

後悔したのはきっと

きみと上手くいかなかった

あの頃が初めてだった


自分でも思う頑固な俺が

きみのためなら

その時の

それまでもこれからも

変えたいと思ったんだ


NO.730の車に乗ってたきみ


女の子が乗るような車じゃなかった


きみとは夏の思い出


春に距離が縮まって

夏に気持ちが一瞬だけ重なって

秋に離れて

冬には終止符を打った


あの夏の思い出は

今でも

どうしてだか忘れられずに

鮮明に覚えてる


そして

その記憶に残るきみは

大きな目をして

きれいな髪の色をして

スタイルばっちりで

心に傷を抱えて

俺の胸で泣いて

そして

俺から去っていった


どうして覚えてるのかな


一緒に大学行ったな


車の中で手を繋いで

楽しい曲も悲しい曲も聴いた


真夜中のお台場


黒のロングのワンピースとサンダル


あの日

スミノフ買って

一緒に飲んだ夜が初めてだった


いつもなら解散の雰囲気


一緒に見た最高の二人のDVD


俺のSTUSSYのTシャツが

きみのパジャマ


イオンのエレベーターは

肩を組んで乗って

レストランは頭を触りながら選んだ

帰りの車

夏の終わり

乾いた風が

恋の終わりを運んだ


大好きだった


へそのピアスは銀色


髪のコテで俺のじゅうたんは

緑色に変色したな


夜から朝まで

朝から昼まで


あの瞬間が今でも


忘れられないくらい

幸せに感じたんだ


うまくいかなかったから

余計にきっと

手持ち花火の一瞬の瞬きのように

輝いて感じるんだろう


今でも思い出す


いつもいつもいつも

きみが頭の中にいた頃


電車で寝てるふりして

涙流したあの日


一緒に電車に乗って

大学に行ったな


もう一度戻れるなら


うまくいかないって分かってても

もう一度戻れるなら


もう一度だけ戻りたいくらい


きみが好きだった


今じゃセカンドカーの

30ウィンダムの助手席


雪で一度は廃車

もう一度同じ車を買った理由に

きみの存在は間違いなくある


ウェッサイだな

なんて二人ではしゃいだ


きみの家の前は狭い路地


さよならは車の中でのkiss


付き合っていなかったのに


どうしてこんなに


心に残ってるのかな


そんなきみ



心象は鏡


あの頃を写す鏡

今を写す鏡


その鏡は透明すぎて

時に眩しすぎる


それが俺の心象